慢性疲労症候群とは


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慢性疲労症候群とは何か

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS)は「筋痛性脳髄炎」とも呼ばれ、原因不明の強度の疲労感をはじめ、微熱、筋肉痛、頭痛、リンパの腫れや痛み、うつなどの症状が半年以上続く病気です。

このCFSは従来の血液検査や尿検査などでは異常を発見できないため、他の病気の可能性がすべて否定されて初めて診断されます。

この慢性疲労症候群は症状が重くなると、寝たきりになることもあり、外見からはそれほど体調が悪いようには見えないため、単なる怠けではないかとも見られ、周囲から理解されず、それによって本人が苦しむことも少なくありません。

これまで、原因もメカニズムも不明だった慢性疲労症候群ですが、大阪市立大学・理化学研究所の研究チームによって、ある程度解明されました。

その研究によれば、慢性疲労症候群(CFS)はもとは感染症や化学的、社会心理的ストレスなどが引き金となって、細胞から異常に分泌されるタンパクなどの影響により、脳・神経系が機能障害を起こしていることがわかりました。

この研究ではポジトロンCTの断層撮影の結果から、慢性疲労を訴える患者には、脳内免疫機構のミクログリア細胞の活性化により炎症が起きていることがわかったのです。

すなわち、「慢性疲労症候群では様々なストレスによって脳内に免疫細胞の異常な活性化により炎症が起きている状態がある。」ということです。

さらに、前頭前野が萎縮し、脳内におけるいろいろな場所でセロトニンやアセチルカルニチンとよばれる神経伝達物質が減少していたことが判明しました。

すなわち、疲れがとれないのは炎症により脳の神経細胞がダメージを受け、これらの神経伝達物質が十分に生産されなくなってしまったことが原因として考えられているのです。

また、脳の帯状回と呼ばれる帯状皮質や視床下部の炎症のレベルと頭痛や筋肉痛のレベルとは関係しており、一方で海馬の炎症は抑うつ状態と関係があることもわかりました。

脳内で起こる炎症は、例えるならば皮膚が赤く腫れるような状態で、健常な人の脳にも、ある程度起きることがわかっています。

しかし、過度な負担がかかると、炎症の度合いが強くなり、脳の神経がダメージを受けて、セロトニンなどの脳内伝達が困難になるのです。

つまり、疲労は脳の炎症が深く関わっており、慢性疲労症候群になっている人はその炎症が収まらない状態であると考えられます。

現在、慢性疲労と慢性疲労症候群は別の病気とされています。その根拠としては、運動労働、ストレスなどによって生じる疲労因子タンパクが慢性疲労症候群の患者にはほとんど見られないにもかかわらず、疲労を感じているということです。

つまり、慢性疲労症候群は簡単に言えば体が疲労状態にないにも関わらず、脳だけが極度の疲労を感じている状態であると言っていいでしょう。

ですから、普通の方が運動や労働をして疲労感を感じるのとは異なり、疲労のメカニズムが脳内で完結しているということです。

この慢性疲労症候群の患者の方は、脳がとてもデリケートで過敏になっているため、動けないのに少しでも無理をして運動したり、働いてしまうと、さらなる強い疲労が襲ってくることが多いようです。

慢性疲労症候群の診断基準

診断基準
(厚生省CFS診断基準試案)
A.大基準
1.生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。

2.病歴、身体所見.検査所見で以下に挙げられている疾患を除外する。

除外すべき主な器質的疾患・病態
1.臓器不全:(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など)
2.慢性感染症:(例;AIDS、B型肝炎、C型肝炎など)
3.リウマチ性、および慢性炎症性疾患:(例;SLE、RA、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など)
4.主な神経系疾患:(例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ頭部外傷など)
5.系統的治療を必要とする疾患:(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など)
6.主な内分泌・代謝疾患:(例;下垂体機能低下症、副腎不全、甲状腺疾患、糖尿病など)
7.原発性睡眠障害:睡眠時無呼吸、ナルコレプシーなど
8.双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など

B.小基準

ア)症状基準
(以下の症状が6カ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)
1. 微熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒 
2. 咽頭痛 
3. 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張 
4. 原因不明の筋力低下 
5. 筋肉痛ないし不快感 
6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感 
7. 頭痛
8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛 
9. 精神神経症状(いずれか1つ以上)
羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ
10. 睡眠障害(過眠、不眠)
11. 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に発現

イ)身体所見基準
(2回以上、医師が確認)
1. 微熱、2. 非浸出性咽頭炎、3. リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)


◎大基準2項目に加えて、小基準の症状基準8項目以上か、症状基準6項目+身体基準2項目以上を満たすとCFSと診断します。
◎大基準2項目に該当するが、小基準で診断基準を満たさない例はCFS(疑診)とします。
◎上記基準で診断されたCFS(疑診は除く)のうち、感染症が確診された後、それに続発して症状が発現した例は感染後CFSと呼びます。


大基準で意味する“強い疲労”の程度をより明確にするために、表2に示すperformance status(PS)が定められており、CFSと診断されるためには下記のPS 3以上の疲労程度であることが求められています。

表2  PS(performance status)による疲労・倦怠の程度
0:倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。
2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要。
3:全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
4:全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。
5:通常の社会生活や労働は困難。軽作業は可能だが、 週のうち数日は自宅で休息が必要。
6:調子のよい日は軽作業は可能だが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7:身の回りのことはでき、介助も不要だが、 通常の社会生活や軽作業は不可能。
8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上就床。
9:身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。



慢性疲労症候群の原因/症状と治療法

慢性疲労諸侯群の原因

慢性疲労症候群の原因はまだ十分に解明されているわけではありませんが、それでもある程度はわかってきています。

その原因とはストレスやウィルス感染などが引き金となった免疫の異常ではないかと考えられています。

さらに、このような症状を起こしやすい遺伝的要素もあるのではないかといわれてます。

まず強いストレスを受けると一時的に体がダメージを受けて身体機能がおちますが、そこで副腎からコルチゾールというストレスに対抗するホルモンが分泌されて、身体の機能を活発にし、対抗して身体を守ろうとします。

この強いストレスが短い間、コルチゾールは大量に分泌されるのですが、強いストレスを長期にわたって、受け続けるとこのコルチゾールが分泌されなくなってしまうのです。

このように、ホルモンが極端に増えたり、また極端に減るなどバランスが崩れると、身体機能が低下し、睡眠や食事などの生活リズムも乱れていきます。

こうなると、免疫力も低下し、幼少期に感染して身体に潜伏していたヘルペスウイルスの一種であるEBウイルスなどが活性化してきます。

すると免疫細胞は、このウィルスに対抗するためにサイトカインとよばれる物質を大量にに作ります。

このサイトカインはウィルスを攻撃するために必要なものですが、同時に炎症を引き起こし、脳などにダメージを与え、脳の機能を低下させることで倦怠感や疲労感をもたらすと考えられています。

先ほども述べましたが、実際に慢性疲労症候群の患者さんの脳内には炎症が起きており、神経細胞がダメージを受けていることまでわかっています。

また、原因となるのは、この体内に潜んでいたEBウィルスだけでなく、当初は外部から侵入したウィルスに対する免疫の反応が引き金となる場合もあるようです。


うつと慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は精神の病気ではないかと主張する意見もあります。というは慢性疲労の患者の多くが、「うつ様症状」を訴えているからです。

「うつ」が原因で疲労感を感じるのか、疲労感が強いから「うつ」になるのかという話にもなりますが、事実抗うつ剤の投与で疲労感が軽減するケースがいくらでもあります。

海外の研究発表では、うつ病は脳内の炎症が原因とする説もあります。

ですから、慢性疲労症候群もうつ病も脳の炎症から脳神経の伝達機能がうまく働かなくなっていると考えれば、抗うつ剤が慢性疲労症候群にも効果を発揮すると理解できます。

たとえば抗うつ剤として広く使用されているものにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)があります。

これは、セロトニンが神経細胞間をスムースに流れるようにする薬剤ですが、慢性疲労症候群が、この脳の神経伝達機能が炎症により低下していることを考えると、これでで改善されるということも納得がいきます。

最近の海外の研究では、まず身体に炎症が起きて、その後にうつを発症するケースが多いという報告もあります。

これらをまとめて考えると、脳内に強い炎症がおこり、その結果神経伝達に支障が生じ、疲労感とうつ症状が同時に起こっているということが言えるのではないかと考えられます。

現在、脳内の炎症を抑える研究もされていますが、一方で、それはEBウィルスを抑えるために免疫細胞が働いている可能性もあり、だとしたら、炎症を一概に抑えることはよいこととは必ずしもいえないわけです。

ただ、免疫細胞は時に興奮状態が必要以上に続いてしまうことはあります。つまり、免疫細胞の標的がすでに存在しないにも関わらず、攻撃しようと必要以上に働き、暴走し、正常細胞にまでダメージを与えることがあるのです。

そうなると、先ほども述べたように、免疫細胞のはたらきを抑制する手段としての、副腎からのコルチゾールの分泌が乏しい、あるいは枯れていることが原因ということも考えられます。

副腎疲労症候群のページでも述べましたが、人間の体内での免疫細胞の過剰な働き、すなわち炎症を抑制し、コントロールするのはコルチゾールなどのホルモンです。

慢性疲労症候群の患者さんは、副腎疲労を起こしている人も多いということから、このホルモンの分泌がうまくいかず、炎症反応がおさまらないということも考えられるわけです。
したがって、慢性疲労症候群の患者さんは、まず副腎疲労の専門のクリニック(アドレナル ファティーグ クリニック)を受診してみることをおすすめします。 一般の病院ではおそらく対処できないと思います。


慢性疲労症候群の治療法
現在、残念ながら確固たる治療法は確立していません。現在、根本治療は困難で、対症療法としての治療法がおこなわれています。

まず、おおもとの原因である、心身にストレスを与えている生活環境や生活習慣、考え方を見直すことも大切です。

デトックスを行い、宿便といわれるものを出したりすると改善することが多いようです。これは、老廃物を排出することで、炎症性サイトカインの分泌を抑制できるからと考えられます。

漢方薬である補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や抗酸化力のあるビタミンC剤、代謝を活発にするビタミンB剤が処方されます。さらに抗ウィルス剤が投与されることもあります。

この中でも補中益気湯は効果が見られたとされる報告も多く、慢性疲労症候群だけでなく慢性疲労にも有効ではないかと考えられます。

この補中益気湯は、食欲不振や疲労倦怠感に効果があるとされているだけでなく、免疫細胞のNK細胞やマクロファージを活性化し、炎症性サイトカインの抑制作用などもあると報告され、これも効果をもたらしていると考えられます。

また温熱療法の一つである和温療法なども効果があると報告され、これは血行を促進させて、老廃物を出しやすくさせて、効果を上げていると考えられます。

さらに 、抗うつ剤や抗精神病薬を使うこともありますし、これは脳の神経伝達に作用するので、うつだけでなく疲労感が軽減する場合もあるようです。

いずれにせよ、上記のような強い疲労感をともなう症状が見られたら、慢性疲労症候群の診断と治療が可能な病院を検索して受診しましょう。

一般の病院では、治療はおろか診断さえできないところも多いからです。

ただし、慢性疲労症候群の基準を満たすほど疲労感は強くないが、慢性疲労が抜けない方は、このサイトで紹介されている回復法を試してみてください。

→副腎疲労症候群
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